離職率が高い施設の傾向
施設によって離職率に差がある
介護職の離職率が高くなるのは二極化が進んでいるからだと先述しましたが、介護施設全体のうち離職率が30%を超える施設は20%ほどです。しかしながら、介護職全体の離職率は16.6%と平均並みであるため、施設選びさえ間違えなければ離職率の低い職場で働くことは十分に可能です。離職率の高い職場を選択してしまわないよう、職場選びは慎重に行いましょう。離職率が高い職場かどうか見分けるポイントは「スタッフ同士の仲が悪い」「経営方法・運営方法に問題がある」「給料が安い」の3つです。
「スタッフ同士の仲が悪い」
これは介護職に限ったことではありませんが、職場の人間関係の悪さで退職や転職を考える人は少なくありません。実際に人間関係が理由で転職した人は全体の25%、約1/4を占めていますが、介護職は女性が多く働いているため他の職場よりも女性特有のトラブルが生じやすくなっています。
たとえば、女性は仲間意識を持つ人が多いのですがグループを作って行動する人もこのような女性の本能が関係しています。このグループ行動は学生の時に多く見られるものですが、社会人になったからといって終わるわけではありません。社会人になっても続いていきますが、「同じグループに入っていない人には冷たく当たる」「違うグループから嫌がらせされる」などのイジメに発展することもあり、これが原因で退職する人も少なくありません。また、このようなトラブルにあっていなくても女性特有の人間関係に嫌気がさしてしまい、退職や転職する人も少なくありません。
「経営方法・運営方法に問題がある」
人間関係のトラブルに続いて施設の経営方法や運営方法に対する不満で退職してしまう人も多く、その数は全体の約20%を占めています。介護職員として働いている人の多くは「日々の生活に困っている高齢者の手助けをしたい」「身近な人の介護をしている姿を見て介護の大切さを感じた」など介護に対して熱い想いを持ちながら働いています。そのため、できるだけ高齢者のためになることをしたいと考えながら仕事をしていますが、介護業界は国が定める介護報酬によって経営が左右されるため厳しい経営状況になることも少なくありません。安定した経営を行うためには無駄な経費を削減しかありませんが、経営者の中には「無駄な経費=人件費・その他必要な経費」とシビアに考える人も多く、赤字にならないよう仕事が回せるギリギリの人数しか採用しない、といった施設も珍しくありません。しかし、実際に働いている職員からすればギリギリの人数しかいないから高齢者が満足できるようなサービスが提供できない、スタッフが足りないから他の業務と兼務することが多く介護の仕事を満足にできない、などの不満を抱えてしまうきっかけにもなります。
このような経営側と職員との考え方のズレが退職者や転職者を増やしてしまうのです。
「給料が安い」
介護業界は他の業界よりも給料が低く設定されています。あらかじめ低いことを想定してはいても実際に働いてみると、想像以上に低くて不満を持ってしまう人も少なくありません。その結果、少しでも給料がいいところへの転職を考える人も多くなり離職者の数も増やしてしまうのです。
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