ICT化で介護職員の負担軽減
2025年に向けて
団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けて、人材確保と職場の業務改善が急務とされています。そのためには「あの人しかやり方が分からない」「知っているのはあの人だけ」といった属人化を防いで個人の負担を軽減し、少ない人数でも介護の質を低下させないような仕組み作りが必要となります。これは人材不足をカバーするだけでなく、人材の定着にも効果があります。
1人1人の負担を軽減させるために、まずは「ムダ」や「ムラ」「ムリ」をできる限り排除しましょう。効率化や生産性の向上に威力を発揮するICT化は介護の業務改善に効果的です。
まずは業務の見える化から
介護は高齢者を相手に行う対人サービス業です。そのため、どうしても経験や知識の理解度から特定の人に業務が依存しやすい傾向があります。また、デイサービスなどでない限り24時間対応が求められるため、シフト制を取り入れている施設も少なくありません。そのため、職員全員が顔を合わせる機会は限られており情報を共有することも難しいく1人にかかる負担が大きくなりやすいのです。
この問題を解消するためには顔を合わせなくても情報が共有できるよう「業務を見える化」することです。たとえばプラットフォームなどに「Aさんはシャワーの温度は42℃」「Bさんはシャワーキャップが必須」と利用者の細かい情報を介護サービスごとに整理し共有しておくと他の職員もその情報に基づいて介護サービスを提供することができるようになり、より質の高い介護サービスを提供することもできます。
クラウドサービスを活用して効率化を図る
ICT化を活用したシステムの構築で効率化を図ることはできるといっても、実際に導入するには莫大な費用と時間がかかってしまいます。そのため、二の足を踏んでいる施設も少なくありません。しかし、介護業界の慣習やシステムに特化したクラウドサービスが登場したことにより、莫大な費用をかけてシステムを構築しなくてもリーズナブルにシステムを構築することができるようになりました。たとえば、今までは利用者のバイタルや入浴はその場でメモを書いておき、空き時間にPCに入力したり記録書に転記したりしなければなりませんでしたが、持ち歩きできるスマートデバイスを活用すれば、その場で利用者の情報を書き込むことができます。一台に記録することで情報を一元化し、各部屋に設置して誰でも見れるようにしておけば情報が重複することもありません。
スマートデバイスで利用しやすく
介護職に従事している人の多くはデジタル機器に苦手意識を持っている年代です。それがICT化を遅らせる一因にもなっています。しかし、スマートフォンの普及に伴って誰でも簡単にインターネットを利用できるようになり苦手意識も薄れてきたことから、これを利用したワークスタイル変革が進んでいます。
たとえば、訪問介護では訪問先で記録を入力したり情報を入力したりすることができたり、急なスケジュールの変更も以前よりも簡単に調整できるようになったりなど、その都度施設や事業所に戻って確認しなくてもいいようになったため、作業を効率よく行うことができるようになりました。
業務の効率化によって技術も向上できる
スマートデバイスやクラウドサービスによって時間がかかっていた事務作業をおよそ半分に短縮することができるようになりました。これにより、介護サービスの質を向上させるために知識や技術を習得する時間も確保できるようなるなどの効果もあります。
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